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村上春樹「街とその不確かな壁」の考察&徹底解説!【あらすじと結末】

こんにちは。

彩人です。

村上春樹の新作ってどんな作品かな?

今日はこんな方向けに記事を書いています。

僕は年間読書量の1/3が村上春樹!!

そんな僕が村上春樹の新作について書いています。

よろしくお願いします。

あやと
あやと
執筆者・彩人プロフィール
・読書ブロガー
・日本大学文理学部卒業
・年間読書量の1/3が村上春樹

村上春樹「街とその不確かな壁」の概要と大まかな考察


まず「街とその不確かな壁」とはこんな作品です(↓)。

  • 新潮社刊
  • 661ページ
  • 2970円(税込)
  • 電子書籍も同時刊行
  • 2023年4月13日発売
  • 新作長編(原稿用紙1200枚)
  • 発売6日で売り上げ35万部突破!

こんな感じの3年ぶりの新作!

村上春樹らしい、とても重厚な物語でしたよね。

ではこちらのあらすじはどんな感じでしょうか?

続いて見て行きたいと思います。

村上春樹「街とその不確かな壁」のネタバレありのあらすじ・内容

続いて「街とその不確かな壁」のあらすじはこんな感じです(↓)

ネタバレします。未読の方はご注意ください。

第一部

ぼく(17歳)ときみ(16歳)が過ごしているところから始まる物語。

ぼくは、きみに、街の話をするようになったのでした。

そして交互に交わる「私」の物語。

こちらの「私」は、夢読みを生業としていたのでした。

そして、そんな「街の様子」をきみに話すようになった「ぼく」。

仲良く暮らしていたのでした。

ちなみにきみとぼくに性的は関係なし。

そこを除けば、とても健全な17歳らしい「付き合い」でした。

しかしある日、きみは突然、姿を消したのです。

そこで「第一部」が終わりました。

こんな感じで始まった「第一部」。

とても「美しい」物語でしたよね。

ところが、第二部では一転します。

なんと40代になった「私」が描かれたのです(↓)

第二部

私は長年書籍の配本・流通に関わる職に就労。

どうやら街を脱出し、影と一緒になったようでした。

ところがある日。

私は図書館で働いている夢を見ます。

そこで思い切って、配本流通関係の仕事を辞職。

単身、福島県・会津地方にある「Z※※町」の図書館へ赴任することになったのです。

そしてそこの館長さん(子易さん)から仕事を引き継ぎました。

ところがこの子易さん。

実は「死者」だったのです。

つまり、幽霊。

子易さんは「影」を持たない存在だったのです。

しかし館長として過ごすうちに、死者である子易さんと交流。

子易さんの過去を添田さんを交えて共有したのでした。

こんな感じで「第二部」の中盤まで終了。

とても重い話でしたよね。

さてここから物語は佳境を迎えます。

つまりようやく「壁に囲まれたあの街」が登場したのです(↓)

ある日。

私は1人の女性と知り合いました。

彼女は喫茶店で働いていた女性でした。

そしてそれと同時に「イエローサブマリン」のシャツを着た男の子とも遭遇。

彼はこの図書館の常連さんとのことでした。

この少年は、本を丸ごと1冊暗記するという能力を所持。

それが特技であり、欠点でした。

そしてこのイエローサブマリンの少年。

昔、「私」が過ごした街の地図を持参したのです。

そしてその地図の街へ行きたいと懇願。

ところがある日突然、イエローサブマリンの少年は行方不明に。

どこを探しても見つからなかったのでした。

つまり「消えた」のです。

こんな感じで終わる「第二部」。

とても奇妙な物語でしたよね。

ところが物語はそれだけでは終わりません。

続く「第三部」が始まりました(↓)

第三部

第三部は壁に囲まれた「私」の物語。

そこで「私」はイエローサブマリンのシャツを着た少年を目撃しました。

しかし「私」も彼女もイエローサブマリンの少年のことは知らず。

なぜならここは「影」を持たない街だったからです。

そして「私」はイエローサブマリンの少年と合体。

つまり合体して「夢読み」をすることになったのでした。

しかしそれもつかの間の話。

突然、「私」がその街を離れる時がきたのです。

なぜなら、影と一体となる場所へ戻ることになったから。

なのでお別れをする必要がありました。

そして一緒にいてくれた彼女に「さよなら」を言い、ろうそくの火を消却。

世界は真っ暗になり終わったのでした。

こんな感じで物語はやや唐突に終了。

とても斬新な終わり方でしたよね。

村上春樹「街とその不確かな壁」の考察と徹底解説!


街とその不確かな壁

さてここから作品を考察&解説して行きたいと思います。

まず物語の「核」となるのは、あちら側こちら側の世界です。

なので物語の核は、「あちら側」と「こちら側」。

ここが作品の読みどころとなっています。

ところがこの世界観が村上春樹らしい!

なぜなら他の作品でも一種のテーマとなっているからです。

例えば、

  • 1Q84
  • 納屋を焼く
  • 世界の終わりとハードボイルドワンダーランド

いずれも2つの世界の話でしたよね。

なので、ここが本作の読みどころとなっています。

ちなみに現実の世界も2つのものから成り立っています。

例えば、

  • 「昼」と「夜」
  • 「陰」と「陽」
  • 「プラス」と「マイナス」

こんな感じで2つのものから成り立っていますよね。

しかし、この2つの世界。

基本的に交わることはありません。

なぜなら、「」(影)があって「」(本体)があるから。

なので基本は交わることは、ないわけです。

例えば「昼」と「夜」も同時存在することはありませんよね。

これと同じ世界が小説でも書かれています。

ただ、この2つの世界は、行き来は可能です。

例えば、

「脳幹」「食道」

「朝焼け」「夕焼け」

「溜まり」(「街とその不確かな壁」)

こんな感じで「往来」は可能ですよね。

そこを描いたのが、「街とその不確かな壁」となっています。

村上春樹「街とその不確かな壁」の結末はどう読むのか?続き・続編はあるのか?

さて物語の結末は、「選択」「消失」です。

なぜなら「私」は「彼女」にさよならを言い、ろうそくを消したから。

なので物語の結末は選択消失です。

悩み君
悩み君
えっ?でも、よくわからないよ…?
あやと
あやと
ありがとうございます。

でも例えを出すとわかりやすいんです。

例えば、「お昼」。

昼も太陽が地平に沈むことで一旦終了しますよね。

なのでこれと原理は一緒です。

例えば「街とその不確かな壁」もろうそくの火を消すことで「壁のある世界」が消滅。

つまり「あちら側の世界」が消えたわけです。

これが主人公が選び取った選択でした。

なので基本的に「続き」や「続編」はありません。

なぜなら、「続編」が出ても「同じ(似たような)物語」が紡がれるだけだから。

なので仮に、続編があったとしても、

その限られた数のモチーフを、手を変え品を変え、様々な形に置き換えていくだけなのだ。

村上春樹「街とその不確かな壁」のあとがきより引用

こんな似たような謎を残し、終わると考えられます。

まとめ

いかがでしたか?

今日は村上春樹さんの新刊について考察してみました!

ちなみに文庫情報や簡単な感想はこちら(↓)

村上春樹・新刊「街とその不確かな壁」文庫発売はいつ?【大胆予測】

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ではまた。

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