村上春樹

【村上春樹「一人称単数」】「クリーム」の考察と徹底解説!

こんにちは。

あやとです。

今日は村上春樹さんの「一人称単数」の中にある『クリーム』を徹底解説をしてみたいと思います。

僕の年間読書量は100冊。

その内の1/3が村上春樹という変態です(笑)

何度も何度も再読しています。

そんな僕がこの作品をどう読んだのか解説しています。

よろしくお願いします。


村上春樹「一人称単数・クリーム」のあらすじ

まずはどんなあらすじなのか見ていきたいと思います。

以下「ネタバレ」です。

18歳の時に経験した奇妙な話から物語は始まります。18歳の時に「ぼく」はピアノ演奏会の招待状をもらいます。招待状は昔一緒にピアノを習っていた女の子からのもの。でも今頃になってなぜ急にピアノの招待状が送られてくるのかわかりません。とりあえず会場とされる住所(神戸の山の上)に行ってみると、門扉は閉まっていてベルを押しても誰も出て来ない。不思議に思い帰るのですが、帰る途中で2つの出来事に遭遇します。一つは宣教車。二つ目は老人。キリスト教の宣教車が「人は皆死にます」と拡声器で宣伝に来た後、「ぼく」は持病の過呼吸が出て倒れてしまいます。その過呼吸で休んでいる間、老人が現れます。老人はそこで「中心がいくつもあって外周を持たない円」の話と「人生のクリーム」の話をするのですが、気づくともういません。そしてその時持っていた花束をベンチに置いて帰宅。そこで過去の話は終わります。あとは現代に戻って、友人に感想を言って物語は終了です。

こんなあらすじでした。

村上春樹「一人称単数・クリーム」を徹底解説!

疑問

この作品を読んでいると必然的に疑問が2つ生まれます。

①誰が何のためにピアノ演奏会の招待状を送ったのか

②老人は一体何者だったのか?

また「中心がいくつもあって外周を持たない円」や「キリスト教の宣教車」とは何なのか。

かなり疑問が残る作品になっています。

でもその答えは本の中に出ているんですよね。

「ぼく」はラストでこう残しています。

「でも原理とか意図とか、そういうのはそこではさして重要な問題ではなかった気がするんだ」

(中略)

「これまでの人生で説明もつかないし筋も通らない、しかし心を激しく乱される出来事が持ち上がるたびに(しばしばとは言わないが、何度かそういうことがあった)僕はいつもその円についてーー中心がいくつもあって外周を持たない円についてーー考えを巡らせた。

(中略)

「そして今でもまだ、何かがあるたびにぼくはその特別な円について、あるいはしょうもないつまらんことについて、そして自分の中にある特別なクリームについて思いを巡らせ続けているのだ」

これがこの小説で結ばれているラストです。

ではここから「招待状」や「老人」をどう解釈するか?

これは老人が

「君の頭は、難しいことを考えるためにある。わからんことをわからんようにするためにある。それが人生のクリームになるんや」

と言っていることから、考えることが人生のクリームになるということを言いたかったのではないでしょうか?

つまり、

・招待状には「こういう意味」がある
とか
・老人には「こういう意味」があった

という解釈より、その解釈の仕方を考えることがクリーム(最上)ということです。

例えば、招待状に関してもいくつか解釈できます。

・女の子が嫌がらせで送った
・女の子が間違えて送った
・実は開始30分前が集合で「ぼく」の勘違いだった
・女の子の知り合いに不思議な老人がいて、その老人が送らせた
・そもそも招待状すら架空のものだった

いろいろ出てきますよね。

でもその解釈を考えることが大事だと言っていると思うのです。

僕はこう解釈しました。

老人も「時間をかけて手間を掛けて、その難しいことを成し遂げたときにな、それがそのまま人生のクリームになるんや」と言っています。

そしてその後老人は、「クリーム」とは何かをこう答えています。

「クレム・ド・ラ・クレム(人生のいちばん大事なエッセンス)」

僕が時間をかけ手間をかけ出した答えが人生で最上のクリーム

これが言いたかったことではないでしょうか?

だからこの小説にも「いくつもの解釈」があって良いと思います。

いろんな解釈や疑問こそ「クリーム(最上)」だからです。

僕はこう解釈しました。

わかりづらかったらすみません(笑)

村上春樹「一人称単数」後に読むオススメ作品

この「クリーム」という作品が気に入った方にオススメなのが


納屋を焼くの中に収録されている「めくらやなぎと眠る女」。

何となく文体や雰囲気が似ている気がします。

「クリーム」と似たような作品をお探しの方は、ぜひ手に取ってみてください!

また近著「猫を棄てる」もオススメです。


こちらは村上春樹のお父様の話。

刊行年も同じです。

未読の方がいましたら、ぜひこちらも手に取ってみてください!

まとめ

いかがでしたか?

僕は他にも村上春樹の考察をいくつかしています。

一人称単数、全体の考察」もしています。

【村上春樹「一人称単数」】全作品のあらすじ、感想、考察、解説、解釈

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良かったらよろしくお願いします。

ではまた。

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