こんにちは。
彩人です。
「東野圭吾さんの作品の特徴や魅力ってなんだろう?」
今日はこんな方向けに記事を書いています。
僕は、東野圭吾さんの大ファン!
かれこれ25年くらい、作品を追いかけています。
今日はそんな僕が作品の特徴や魅力を徹底解説!
よろしくお願いします。
・読書ブロガー
・日本大学文理学部卒業
・年間読書量の9割が小説
東野圭吾作品の特徴と魅力!①本格推理ものから社会推理ものに移行した
特色の一つ目は、多彩な推理ものに挑んでいる点です。
例えば「白馬山荘殺人事件」(1986年)では、
「密室だとか暗号だとかの、いわゆる古典的な小道具が大好きで、たとえ時代遅れだといわれようとも、こだわり続けたい」
と語っています。
それに対し、4年後「宿命」(1990年)という作品では…
犯人は誰か、どういうトリックかといった手品を駆使したそういう謎もいいが、もっと別のタイプの意外性も想像したい。
と語っています。
それ以降、読者に意外性を提示していると言われます。
推理手法も以下の通り、変化しています(↓)。
- フーダニット(Who done it)→「どちらかが彼女を殺した」(1996年)
- ハウダニット(How done it)→「探偵ガリレオ」「予知夢」(1998年、2000年)
- 社会派ミステリー→「容疑者Xの献身」(2005年)
- 情緒ミステリー→「ナミヤ雑貨店の奇跡」(2012年)
と手法を広げていることも特徴です。
東野圭吾作品の特徴と魅力!②幅広い作風〜学園物・スポーツもの・原発ものまで〜
続いての特徴は、作風が幅広いことです。
近年作品からもそれがわかります(↓)。
<白鳥とコウモリ(2021年)→社会派ミステリー>
<ブラックショーマンと名もなき町の殺人(2020年)→マジシャンもの>
<クスノキの番人(2020年)→軽いSFチックなもの>
<希望の糸(2019年)→警察もの>
<沈黙のパレード〜ガリレオシリーズ〜→天才物理学者もの>
<ラプラスの魔女シリーズ→女の子が主人公もの>
<虚ろな十字架→死刑がテーマ>
<人魚の眠る家→脳死がテーマ>
こんな風に多彩なジャンルに挑んでいることも特色です。
ホテルやスキー場作品、なんてのもあります。
東野圭吾作品の特徴と魅力!③読みやすい&テンポが良い
また、読みやすい文体で書かれていることも特徴です。
宮本康代はその日のことを、何十年経った今でも明瞭に覚えている。九月に入って間もない頃だった。秋保温泉で旅館の女将をしている友人から電話がかかってきた。女性を一人、雇ってもらえないだろうか、というのだった。
東野圭吾「祈りの幕が下りる時」冒頭より引用
こちらは「祈りの幕が下りる時」の冒頭。
とても読みやすくテンポも良いですよね。
ドフトエフスキー「罪と罰」と比べると一目瞭然です(↓)。
7月はじめの酷暑のころのある日の夕暮れ近く、一人の青年が、小部屋を借りているS横町のある建物の門をふらりと出て、思いまようらしく、のろのろと、K橋の方へ歩き出した。
ドフトエフスキー「罪と罰」冒頭より引用
どちらとも有名なのに、読みやすさは一目瞭然。
また、一文が短いことも特徴です。
句読点(「。」「、」)でしっかり区切られています。
そのため、テンポがマル!○
軽快なリズムで読めることが特徴です。
東野圭吾作品の特徴と魅力!④頭に映像が思い浮かびやすい
また、映像が浮かびやすいことも特徴です。
こちらも「祈りの幕が下りる時」を例に取ってみます(↓)。
宮本康代はその日のことを、何十年経った今でも明瞭に覚えている。九月に入って間もない頃だった。秋保温泉で旅館の女将をしている友人から電話がかかってきた。女性を一人、雇ってもらえないだろうか、というのだった。
東野圭吾「祈りの幕が下りる時」冒頭より引用
「九月」「旅館」というワードからいろんな映像が浮かんできます。
他の作品は、どうでしょうか?
こちら(↓)は東野圭吾「虚像の道化師」という作品からです。
パソコンに向かってから五分も経たないうちに、また例の耳鳴りが始まった。脇坂睦美は両肘を机の上に載せ、モニターを眺めるふりをしながら、それが治るのをじっと待った。
東野圭吾「虚像の道化師」P155より引用
いかがですか?
パソコンに向かい、耳鳴りがしている映像が浮かんできませんでしょうか?
ただこれは東野圭吾さん独自の作風で、他の作家さんだと違います。
例えば村上春樹さんだと、こんな感じです(↓)。
よくいるかホテルの夢を見る。夢の中で僕はそこに含まれている。つまり、ある種の継続的状況として僕はそこに含まれている。夢は明らかにそういう継続性を提示している。
村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」冒頭より引用
こちらは、ほとんど映像が浮かんできませんよね。
こんな風に映像が浮かびやすいのも東野さんの特徴です。
東野圭吾作品の特徴と魅力!⑤著者と馴染みのある地名やスポーツが登場
最後の特徴は著者と馴染みのある地名やスポーツが登場することです。
- 「白鳥とコウモリ」→昔住んでいた愛知県の地名が多数登場
- 「ガリレオシリーズ」→理系出身の著者ならではのストーリー
- 「白銀ジャック」などスキーシリーズ→著者もスノボ好き
このように、東野圭吾さんと結びつきのあるものが多数登場します。
まとめ
いかがでしたか?
東野作品を楽しむヒントになれば幸いです。
ちなみに僕は「白鳥とコウモリのレビューと考察」もしています。
良かったらそちらも、よろしくお願いします。
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ではこの辺で!