こんにちは。
彩人です。
『村上春樹の鼠三部作って何だろう?』
『鼠三部作はどんな順番で刊行されたのかな?』
今日は、こんな方向けに記事を書いています。
僕は年間読書量の1/3が村上春樹。
そんな僕が解説しています。
よろしくお願いします。
・読書ブロガー
・日本大学文理学部卒業
・年間読書量の1/3が村上春樹
村上春樹「鼠三部作」とは?読む順番から読み方までを解説!
まず村上春樹の「鼠三部作」とは、こちら3作品のことです(↓)。
- 「風の歌を聴け」
- 「1973年のピンボール」
- 「羊をめぐる冒険」
こちらの3作品が、
- 鼠三部作
- 初期三部作
と呼ばれています。
ではなぜ、これらの作品を「鼠三部作」と言うのでしょうか?
それは登場人物(あだ名)に「鼠」が登場するから。
実際3作品とも「鼠」と呼ばれる登場人物が出てきます。
ではこちらの作品は、どの順番で読むのが正解でしょうか?
鼠三部作は、こちらの順番で読むことがおすすめです(↓)
①風の歌を聴け(1979年)
②1973年のピンボール(1980年)
③羊をめぐる冒険(1982年)
なぜならこちらの作品は、微妙に少しずつ繋がっているから。
また刊行年もこの順番となっています。
なのでこちらの順番で読むことがおすすめです。
(※村上春樹の作品全体の読む順番を知りたい方はこちら(↓))
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さて続いて「鼠三部作」とはどんな作品なのでしょうか?
続いてみて行きたいと思います。
村上春樹「鼠三部作」①風の歌を聴け
鼠三部作の第一作目は1978年刊行の「風の歌を聴け」。
こちらは村上春樹のデビュー作となっています。
1978年に刊行されました。
ネタバレしない程度のあらすじはこんな感じとなっています(↓)。
物語の語り手は「僕」。1978年8月。僕は東京の大学生活を離れ、故郷の海辺の街に帰省します。鼠と出逢ったのはそこから3年前。飲酒運転のフィアットが動物園の檻に突っ込んでしまったのです。そこで偶然乗り合わせていた鼠と出逢います。
僕は行きつけのバーにて「鼠」と待ち合わせします。ところが鼠はやってこず、代わりに現れたのは指が4本しかない女の子でした。その彼女と一晩過ごすことになり、いろんな話を聞かされます。
一方、鼠は大学へは戻らず、故郷で小説を書く決心をします。
ラストで鼠や知り合った彼女、バーテンのジェイとどうなるのか?お楽しみです。
こんな感じの作品でした。
鼠三部作の一作目とあって、鼠との出会いから別れまでが記載。
またのちに登場する双子や彼女の記載もあります。
なので一番最初に読むことがおすすめです。
ちなみに詳しい考察を知りたい方はこちら(↓)
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良かったらよろしくお願いします。
村上春樹「鼠三部作」②1973年のピンボール
鼠三部作の2冊目は「1973年のピンボール」。
こちらは村上春樹の第二作品目となっています。
こちらは1980年刊行。
ネタバレしない程度のあらすじはこんな感じです(↓)。
この小説はお互い700キロも離れていた街に住んでいた「僕」と「鼠」の物語。
僕は1972年に南平台にあるマンションを借りて翻訳事務所を開きます。繁盛していて女性従業員を雇うほど。
時系列が変わり1970年。僕と鼠がよく来ていた「ジェイズ・バー」。ここにはピンボール台がありました。ただ、やがてジェイズ・バーは閉店。僕は良く遊んでいたピンボール台を探し出そうとします。
一方、鼠はジェイに女の子との別れを話します。鼠はまだジェイズ・バーに入り浸っていましたが、その鼠にも変化・成長の時が。
こんな物語でした。
ポイントは、「僕」と「鼠」の続きが書かれていること。
鼠は成長しそうにありませんでしたが、この作品で大きく成長しようとしています。
どう成長するのかが読みどころとなっています(↓)
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村上春樹「鼠三部作」③羊をめぐる冒険
鼠三部作の三作目は「羊をめぐる冒険」。
村上春樹初の長編作品となっています。
こちらもネタバレしない程度のあらすじを書いてみました(↓)。
主人公・僕は29歳。広告代理店で働いています。
僕は妻を失った後、耳のモデルをしている彼女と知り合います。彼女の耳は、予知能力のような物を持つ、不思議な耳。
一方、広告代理店には妙な依頼が来ます。写真に写った一匹の羊を探して欲しいと依頼されるのです。そこで耳のモデルの彼女と北海道まで探しに行きます。ただ、どうやらこの件には「鼠」が関係していることを知ります。
鼠とは会えるのか?はたまた探していた羊は見つかるのか?!
「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」で課題だった時系列のわかりづらさは解消され、かなり読みやすくなっています。
また「鼠と会えるのか?」もポイント。
「1973年のピンボール」では二人は出会っていませんでした。
また鼠三部作を読む順番は三番目(三部作のラスト)。
厳密に言えば「ダンスダンスダンス」とも繋がっているのですが、物語的にはこちらで完結。
なので「鼠三部作完結」と呼ばれています。
さらに追求したい方は「ダンスダンスダンス」を読んでみるのもいいかも知れません。
村上春樹「鼠の名言」
では実際、作中で鼠はどんな名言を残しているでしょうか?
具体的にみてみます。
まず「風の歌を聴け」では、こんな名言を残しています(↓)
「条件はみんな同じなんだ。故障した飛行機に乗り合わせたみたいにさ。もちろん運の強いのもいりゃ運の悪いものもいる。タフなのもいりゃ、弱いのもいる、金持ちもいりゃ、貧乏人もいる。だけどね、人並み外れた強さを持ったやつなんて誰もいないんだ。みんな同じさ。何かを持ってる奴はいつかなくすんじゃないかと、ビクついているし、何も持っていないやつは永遠に何も持てないんじゃないかと心配してる。みんな同じさ。」
村上春樹「風の歌を聴け」P121より引用
こんな感じの名言を残しています。
また他にもこんな名言が(↓)
いつかは失われるものにたいした意味はない。失われるべきものの栄光は真の栄光にはあらず、てね。
村上春樹「1973年のピンボール」P 140より引用
どの言葉もなかなか意味深いですよね。
「鼠」ってなんだろう?〜「鼠のモデル」はいたのかな?〜
では「鼠」とは一体なんなのでしょうか?
これは僕なりの考えですが「鼠=古い自分」ではないかと考えています。
・大学へは戻らず、街に残るちょっと変わった鼠。
・毎年「メリークリスマス&ハッピーバースデイ」など綺麗事を言ってしまう鼠。
こちらはある種の人間の若い頃を思い起こさせませんか?
若い時って夢に憧れたり、思ってもないことを言ってしまったりしますよね。
なので「未熟で古い自分」を「鼠」と表現したのだと僕は考えています。
でも一人の人間が別人のように変化したとしたら、このように書かなければ整合性が取れないのではないでしょうか。
例えば、別人物のように考え方が変わったり、性格や人間性も変わったり。
それを表現しているのではないかと僕は考えています。
なぜなら古い自分からヒントを得たと思うから。
また村上作品にモデルは、いないとされています。
これは「職業としての小説家」でも詳しく語られています(↓)
まとめ
いかがでしたか?
今日は、鼠三部作について書いてみました。
ちなみに僕は他にも「村上春樹の考察記事」をしています。
良かったらそちらもよろしくお願いします。
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ではまた。